ガソリンを使わず電気で走行する電気自動車(Electric Vehicle=EV)は、エコカーのひとつとして、今、非常に注目されています。
しかし、ガソリン車がまだまだ主流の今、電気自動車(EV)について詳しく知らないという方も多いかもしれません。
本記事では、電気自動車の特徴や具体的な仕組み、メリット・デメリット、さらには実用性や税制面まで、電気自動車(EV)にまつわる基礎知識を解説します。
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1. 電気自動車(EV)は電気で走る自動車
EVとは、「Electric Vehicle」の略で、電気でモーターを駆動させて走る車のことです。こうした電気を利用して動く車を総称して、「電動車」といいます。
電動車には、いくつかの種類があり、その一つが電気自動車です。電気自動車とは、100%電気で走る車「BEV(Battery Electric Vehicle)」のことをさします。電動車にはほかにも、ハイブリッドカー(HEV)・プラグインハイブリッドカー(PHEV)・燃料電池自動車(FCEV)といった種類があります。
上記のとおり、EVは広義には「電動車」全体のことをいいますが、日本では一般的に、BEVのことをさす場合が多いです。本記事では、EV=電気自動車(BEV)として解説します。
電気自動車(EV)の仕組み・構造
電気自動車(EV)は、搭載したバッテリーから電動モーターに電流を流し、モーターが回転する力で走行します。
電気自動車(EV)を構成する主要な部品は「バッテリー・モーター・コントローラー」の3つで、それぞれの役割は以下のとおりです。
- バッテリー...蓄電器とも呼ばれ、モーターに電気を供給する
- モーター...バッテリーから送られてきた電気を駆動力に変える
- コントローラー...直流電流を交流電流に変換する
電気自動車(EV)は、外部電源から充電した電気を駆動用の大容量バッテリーに蓄えます。このバッテリーの電気はコントローラーを介して、モーターに送られます。バッテリーからの電流が電動モーターを動かし、モーターが回転する力で車を走らせます。
2. 電気自動車(EV)の充電方法は?
「普通充電」と「急速充電」の2種類
電気自動車(EV)の充電には、「普通充電」と「急速充電」という2種類の方法があります。
普通充電とは、3~6kWで充電する方法で、充電に時間はかかりますが、バッテリーに優しいのが特徴です。自宅に充電設備を設置する場合は、この普通充電の方法になります。自宅に充電設備がない場合でも、宿泊施設、商業施設など、長時間滞在する場所に普通充電の充電スタンドが設置されていることがあります。
急速充電とは、50~150kWの高出力で充電する方法です。短時間で充電できるので、外出先で充電する際に便利です。高速道路のSA・PA、道の駅、コンビニなどで急速充電のスタンドが設置されています。
なお、電気自動車(EV)には、普通充電用、急速充電用それぞれの充電口が設けられています。
急速充電のやり方などについては、以下の記事でも紹介しています。
電動車の普及に伴い、充電設備も拡充
電気自動車(EV)の購入を検討しているものの、「充電設備が十分にないのでは」と懸念している方もいるかもしれません。しかし近年は、国による電動車普及促進とともに、充電設備の設置も進められています。
経済産業省は「2030年までに充電スポット30か所設置」「2035年までに新車販売を100%電動車」を目標としています。この取り組みは今後も推進されるため、電動車の利用しやすい環境はどんどん整備されていくでしょう。
3. 電動車の種類
電動車には主に、以下の4つの種類があります。
| 種類 | 動力源 | 充填 |
|---|---|---|
| 電気自動車(BEV) | 電気 | 外部給電 |
| ハイブリッドカー(HEV) | 電気・ガソリン | 給油 ※外部給電不可 |
| プラグインハイブリッドカー(PHEV) | 電気・ガソリン | 外部給電+給油 |
| 燃料電池自動車(FCEV) | 水素・酸素 | 水素ステーション |
電気自動車(BEV)
BEV(Battery Electric Vehicle)は、100%電気の力だけで走るタイプの車両です。エンジンの代わりに、大容量のバッテリーを搭載しており、このバッテリーに蓄えられた電気を駆動力に変えて車を走らせます。BEVは、基本的には外部電源からの充電が必要になりますが、排気ガスやCO2を排出しないため、環境に非常にやさしい車といえます。
ハイブリッドカー(HEV)
HEV(Hybrid Electric Vehicle)は、エンジンとモーターの両方を搭載した車両です。外部電源から充電するのではなく、エンジンで電気を発電します。その電気をモーターに送り、駆動力に変換するという仕組みです。状況に応じてガソリンと電力を使い分けるので、燃費性能が良いのが特徴です。
ハイブリッドカー(HEV)については、以下の記事でも詳しく解説しています。
プラグインハイブリッドカー(PHEV)
PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)は、外部電源から充電できる機能を備えたハイブリッドカーのこと。ハイブリッドカーと同様に、エンジンとモーターの両方を搭載しています。基本的には電気の力で走りますが、充電が少なくなってきた場合にはガソリンエンジンに切り替えて走ります。
燃料電池自動車(FCEV)
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)は、水素と酸素の化学反応によって電気を発生させ、その電力で走行する車両です。BEVと同じく、ガソリンは使用しないので、CO2を排出しません。燃料が水素となるため、水素ステーションで燃料を充填します。
4. 電気自動車(EV)のメリット

電気自動車(EV)は、次世代のエコカーとして注目されるさまざまなメリットがあります。それでは、電気自動車を使用する代表的なメリットを紹介します。
排気ガスを排出しない
近年、例年以上の高温が続いているとおり、急激に地球温暖化が進んでいます。排気ガスに含まれるCO2がその原因の1つとも言われていますが、電気を動力源とする電気自動車(EV)は、ガソリン車とは違い排気ガスを一切排出しません。
また、電気自動車(EV)のバッテリーに充電された電気は、非常用電源としても利用できます。安全かつクリーンな給電方法として、台風や地震といった災害時にも役立つでしょう。
補助金制度を利用できる
電気自動車(EV)を購入すると、国によるクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)を受けられます。
CEV補助金は、車両・外部給電器などの購入後、所定の書類を提出すれば受給できます。令和48年度の補助金上限は、EV130万円、軽EV58万円です。実際の受給額は、車種やグレードにより変わります。
ただし、年度ごとに決められた予算の総額を超えると、申請前に補助金が終了することもありうるので注意してください。
国による補助金のほか、東京都の「ZEV補助金」など、自治体で独自の補助金を設けている場合もあるので、購入前にリサーチしておくと良いでしょう。
燃料代を節約できる
電気自動車(EV)は、燃料代の節約につながりやすいといえます。仮に同じ距離(450㎞)を走ると仮定します。エンジン車は15㎞/L燃費の場合、30Lのガソリンが必要です。電気自動車(EV)は60kWhの電力が必要とします。その時のガソリン代を150円/L、電気代を27円/kWhとしてシミュレーションしてみましょう。エンジン車を満タンにするのに30L給油すると、ガソリン代は「150円/L×30L=4,500円」かかります。一方、電気自動車(EV)をフル充電するのに60kWh充電すると、電気代は「27円/kWh×60kWh=1,620円」です。
一ヶ月の走行距離が450kmだった場合、燃料代を年間に換算すると、ガソリン代は54,000円、電気代は19,440円となり、ガソリン代に比べ電気代の方が年間約35,000円安いことがわかります。
さらに、夜間の電気使用料金を安くする電力会社やプランを利用することで、割安な時間を狙った充電でコストダウンが可能です。また、自宅に充電設備が整っている場合は自宅で充電できるため、寝ている間に充電できる点もメリットのひとつです。
昨今では電気代の値上がりもありますが、原油価格の影響で価格が大きく変動しやすいガソリンに比べると変動幅は少なめです。そのため、燃料にかかるコストが安定しているのも電気自動車(EV)のメリットといえます。
自動車税の優遇を受けられる
2026年4月より自動車税環境性能割が廃止されたことから、現在自動車の所有時には、自動車重量税、自動車税の2種類の税金がかかります。しかし、電気自動車(EV)の場合、これらの税金が免税あるいは減税の対象となります。
① 自動車重量税:免税(エコカー減税が適用)
自動車重量税は、その名のとおり、自動車の重量に応じて課される税金です。新車購入時と車検時に支払います。
自動車重量税については、一定の排出ガスや燃費基準を満たすと、エコカー減税の対象になります。当初、エコカー減税は2021年4月まででしたが、2028年4月末までの延長が決定しました。エコカー減税では、電気自動車(EV)・PHEV・FCEV・LPGが免税対象となります。
②自動車税:減税(グリーン化特例により概ね75%軽減)
自動車税は毎年4月1日時点の所有者に対して課されるもので、使用目的や排気量などで税額が異なります。電気自動車(EV)は排気量がないため、自動車税では最も低い区分となります。
さらに2026年4月現在、環境性能に優れた車両に適用されるグリーン化特例が実施されています。この特例では、2026年5月1日〜2028年4月30日までに新規登録された電気自動車(EV)、PHEV、FCEV、LPGは、登録翌年の税金が「概ね75%」軽減となります。
また、補助金制度と同じく自治体独自の減税や免税制度もあります。
5. 電気自動車(EV)のデメリット
電気自動車(EV)は補助金を利用できる、燃料代を抑えられるなど良いことばかりのようですが、いくつか注意点もあります。
充電設備が必要になる
電気自動車(EV)を使用するためには、充電設備が欠かせません。
自宅で充電するには設備工事が必要です。たとえば充電用コンセントを使用する場合、製品自体は数千円から1万円前後で販売されています。しかし、EV用の充電設備にはブレーカーが必須であり、施工のすべてにかかる費用は約10万円が相場とされます。
自宅への充電設備の設置費用は、補助金の対象になる場合やメーカーが費用をサポートしてくれる場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。
集合住宅にお住まいの方など、自宅に充電設備を設けられない方は充電スポットを利用しましょう。
充電に時間がかかる
充電に時間がかかるのも、電気自動車(EV)のデメリットの1つです。
バッテリー容量や車種などの条件によっても異なりますが、40kWhのバッテリーを搭載する日産「リーフ」の場合、家庭でフル充電するには、200Vで約8時間、100Vだと約16時間かかります。
先述のとおり、公共の充電スポットには家庭と同じ普通充電と急速充電の2タイプがあります。急速充電であれば、約40分で80%の充電ができます。それでも、数分で満タンになるガソリン車に比べると、やはり時間がかかります。
また、時間をかけて充電しても、走行状況や環境要因によって想定していたよりも航続距離が短くなる可能性もあります。走行中のバッテリー残量には、常に注意が必要です。
車本体の価格が高い
電気自動車(EV)に搭載されるバッテリー用のリチウムイオン電池は製造コストが高いため、ガソリン車に比べて車本体の価格が高くなります。
CEV補助金を利用すれば最大130万円を受給できますが、車種が少ないうえに車種ごとの価格差が大きい現状もあります。金額が気になる場合は、購入前に一度販売店に確認することをおすすめします。
6. 電気自動車(EV)のおすすめの選び方
燃費や税金を抑えられるといったメリットから、電気自動車(EV)の購入を検討中の方もいるでしょう。そこで、電気自動車(EV)の購入前に押さえておきたい選び方を解説します。
航続距離で選ぶ
電気自動車(EV)を選ぶポイントの1つが航続距離です。
航続距離とは燃料が満タンの状態でどれだけ走行できるかを示すもので、電気自動車(EV)の場合はバッテリー容量によって異なります。
ただし、バッテリー容量が大きくなるほど車両の本体価格も上がるため、予算を考慮して決めることが大切です。
ちなみに、電気自動車(EV)のバッテリー容量は、平均40〜60kWh程度の車が多いのが現状です。40kWhあれば航続距離は約200~300㎞あり、日常使いであれば十分なバッテリー容量といえるでしょう。
予算で選ぶ
現状では、販売車種はガソリン車より少なく、選択肢はそれほど多いとはいえません。また、ガソリン車より本体価格が高めの傾向であるため、ご自身の予算が決まっていれば車種が自ずと決まることもあります。
そこで、先述の補助金制度を活用して購入費用を抑えながら予算に応じた車種を決めるのもおすすめです。
ただし、補助金制度は申請期限が決まっていたり、予算上限に達すると受付終了となったりすることがあるので注意しましょう。
7. 電気自動車(EV)に関するQ&A
最後に、電気自動車(EV)を運転するにあたって気になる質問にお答えします。
電気自動車(EV)の走行性能は良いの?
電気自動車(EV)はバッテリーに充電した電気を使って、電動モーターを動かす仕組みです。ガソリン燃料を燃やしてエンジンを動かすガソリン車に比べると、始動音・走行音ともに非常に静かで振動もありません。
そのため、車内が静かなことはもちろん、住宅街を走るときも騒音の配慮は必要ありません。
また、電気自動車(EV)のモーターは、ガソリン車のエンジンのように徐々に出力が高まるのではなく、発進時から高い瞬発力を発揮します。そのため、アクセルの踏み込みに連動した滑らかな加速を実現し、ストレスなく運転できます。
電気自動車(EV)のバッテリーの持ちは良い?
家電製品やスマートフォンに使われるバッテリーと同様、電気自動車(EV)のバッテリーも劣化は避けられません。
しかし、充電回数や走行距離が少ないにもかかわらず、バッテリーの不具合などから、著しく劣化が進むこともあります。そのため、購入時には各メーカーが定めるバッテリーの保証期間を必ず確認しておきましょう。
ほとんどのメーカーが「5~10年以上または100,000~200,000㎞(どちらか早いほう)」あるいは「保証容量約70%」を適用しています。会社によって保証制度や細かな違いがあるので、購入時の参考にしてください。
また、中古車の場合、新車とは異なる保証が適用される可能性もあるので、購入前に契約内容の確認を忘れないようにしましょう。
8. 電気自動車(EV)の購入はメリット・デメリット、利用目的から見極めましょう
電気自動車(EV)は、次世代の自動車社会を担う注目のエコカーです。
先述のとおりデメリットもいくつかありますが、補助金制度の活用や充電スポットが今以上に増加されれば実際に利用するうえで大きな問題にはならないかもしれません。
また、自宅で充電できるため、寝ている間に充電が完了する点が大きなメリットではあるものの、集合住宅に住んでいる方や月極駐車場を利用している場合は自宅で充電ができないため、購入する前によく考える必要があります。
電気自動車(EV)を検討している方は、遠出が多い場合は航続距離が長いものにするなど、ライフスタイルに合ったものを見極めましょう。
9. 監修コメント
電気自動車(EV)とガソリン車では構造が異なるため、冷暖房の仕組みにも違いがあります。
ガソリン車の冷房はエンジンの駆動によって発電された電力が使われ、暖房はエンジンの排熱を活用する仕組みが一般的です。一方で電気自動車(EV)はエンジンがないため、冷暖房を含む車両設備は外部充電した電力でまかなわれます。そのため、電気自動車(EV)はガソリン車よりも、エアコン使用時に航続距離への影響が大きくなる傾向があります。
電気自動車(EV)で冬場や夏場に長距離運転をする際は、電力消費を意識した使い方を心掛けることが大切です。
