自動車を所有していると毎年税金の支払いが発生します。なかでも排気量に応じて課税される自動車税・軽自動車税は毎年4月1日(基準日)時点の車両所有者に支払いの義務が発生します。
自動車税の納税通知書はいつごろ届いて、いつまでに支払わなければならないのか、何年ごとにいくら払うのかなど、自動車税・軽自動車税の気になる疑問を解説します。あわせて課税の仕組みや支払い方法、節約のポイント、滞納してしまった際のリスクもまとめました
- 目次
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1.車にかかる税金は4種類
自動車の所有に課される税金は、毎年通知が届いてから納付する自動車税・軽自動車税、新規登録や車検時に収める自動車重量税など、以下の4種類があります(2019年の税制改正後)。
- 自動車税/軽自動車税
○本記事で解説するのはこちら - 自動車重量税
- 環境性能割
- 消費税
課税時期 | 納付先 | 税額を決める要素 | |
---|---|---|---|
自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割) | 毎年4月1日 | 普通車...都道府県 軽自動車...市区町村 |
排気量等 |
自動車重量税 | 新規登録(新規検査)時 車検時 |
国 | 車の重さ等 |
環境性能割 | 購入時 | 普通車...都道府県 軽自動車...市区町村 ※当面の賦課徴収は都道府県による |
環境性能 |
消費税 | 購入時 | 国、地方 | 本体価格 |
「自動車税・軽自動車税」は1年に1回、自動車の排気量に応じて課税される地方税です。
自動車税・軽自動車税以外に車にかかる税金(自動車重量税、環境性能割、消費税)について、詳しくは下記の記事で紹介しています。
2.自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)とは
自動車税・軽自動車税とは、車の所有者に義務付けられている税金で、4月1日の時点で所有している自動車の総排気量に応じて課税されます。
金融機関やコンビニなどで支払えるほか、近年は電子決済で支払い手続きができる都道府県や市区町村も増えています(支払い方法については後ほど詳しく解説します)。
3.自動車税・軽自動車税はいつ納付書が届いて、いつまでに支払う?
次に、自動車税と軽自動車税の支払い時期はいつごろか、またいつまでに支払う必要があるかを解説します。なお、自動車税・軽自動車は1年間分を前払いで支払う必要があります。
納税通知書はいつ届く?
自動車税の納税通知書が届くのは5月初め頃です。車検証に記載されている住所宛に納付書が郵送されますので、その時期になったら注意しておくようにしましょう。
納付期限はいつ?
自動車税・軽自動車税ともに、納付期限は原則として5月31日です。
ただし、5月31日が土日祝などにあたる場合は、6月上旬まで延長が可能です(例外的に青森県と秋田県のみ、6月末が納付期限になります)。
住所変更や名義変更は15日以内に申告を
住所が変わった場合は、引越し後15日以内に車検証の住所変更登録をしてください。管轄の運輸支局等に届け出を行います(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)。手続きを忘れると、納付書が届かないなどの事態に見舞われてしまいますので注意しましょう。
東京都の場合は自動車税納税通知書の送付先変更をインターネット上で行うこともできます。自動車検査証(車検証)の住所変更手続きに時間がかかる場合はこちらを利用するのもよいでしょう。
※車検証の住所変更は別途行う必要があります。
※東京ナンバーの自動車のみ。軽自動車は市区町村に問合わせ
また車を譲渡したときは管轄の運輸支局、または自動車検査登録事務所にその旨を登録し、名義変更(移転登録)の申告が必要です。
正しく届け出をしないと引き続き課税されてしまうことがありますので、確認するようにしましょう。この場合も、申告期限は車検証の記載事項に変更があってから15日以内です。
管轄の運輸支局等は以下のポータルサイトから検索できます。
運輸支局で名義変更や住所変更を行う際の手順や必要な書類など、詳しくは下記の記事で紹介しています。
4.自動車税・軽自動車税の排気量別税額一覧
自動車税の納付額は車の排気量に応じて設定されていますが、車の新車登録時期や新車登録からの経過年数、用途区分によっても納付額が大きく異なります。
自家用乗用車の納付額は、エンジン排気量が0.5L増えるにしたがって累進的に上乗せされます。軽自動車は一律10,800円と定められています。
排気量 | 2019年9月30日以前に 新車登録された車の基本納付額 |
2019年10月1日以降に 新車登録された車の基本納付額 |
---|---|---|
軽自動車 | 10,800円 | 10,800円 |
660cc超~1,000cc以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1,000cc超~1,500cc以下 | 34,500円 | 30,500円 |
1,500cc超~2,000cc以下 | 39,500円 | 36,000円 |
2,000cc超~2,500cc以下 | 45,000円 | 43,500円 |
2,500cc超~3,000cc以下 | 51,000円 | 50,000円 |
3,000cc超~3,500cc以下 | 58,000円 | 57,000円 |
3,500cc超~4,000cc以下 | 66,500円 | 65,500円 |
4,000cc超~4,500cc以下 | 76,500円 | 75,500円 |
4,500cc超~6,000cc以下 | 88,000円 | 87,000円 |
6,000cc超 | 111,000円 | 110,000円 |
年数が経過した車は重課対象になる
1台の車を長期にわたって乗り続けると、税金が上乗せされます。例えば、新車登録から13年が経過したガソリン車は、自動車税がおよそ15%増額されます。
ただし、ハイブリッドカーや電気自動車は13年が経過しても重課対象になりません。自動車税を抑えるなら、こうしたエコカーへ乗り替えるのも視野に入れてみてはいかがでしょう。
5.節税する方法
ここでは、自動車税・軽自動車税の節税方法を解説します。
グリーン化特例を活用する
グリーン化特例とは、電気自動車やハイブリッド車など環境性能の良い車を購入した場合、新車登録の翌年度分の税額が減税される特例措置です。2026年3月31日までに新車登録を行えば、燃費基準の達成基準の度合いによっておおむね75%の減税となっています。
(当初、2023年3月31日が期限とされていましたが、2022年12月に3年間の延長が決定しました)
グリーン化特例が適用される車両 | 軽減率 |
---|---|
電気自動車 燃料電池自動車 プラグインハイブリット車 天然ガス自動車 |
75% |
2026年3月31日まで |
軽自動車も同様にグリーン化特例が適用されますが、適用期間中に初めて車両番号の指定を受ける減税対象車を取得した場合に限ります。
ただし、グリーン化特例が適用されるのは、普通車は新車登録の翌年度分から、軽自動車は減税対象車を取得した翌年度分からとなる点に注意しましょう。
また、東京都では独自に「ZEV(ゼブ)導入促進税制」という課税免除制度を導入しています。
電気自動車、燃料電池自動車(水素を燃料とするもの)、プラグインハイブリッド自動車などを対象に、初回新規登録時の自動車税(月割)および翌年度からの5年度分の自動車税が減税されます。
購入時期を考慮する
車を購入する時期によっても自動車税や軽自動車税は変動します。
自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に課せられます。ただし車の購入が年度途中であれば、課税期間は新車登録の翌月から翌年3月31日までの月割りとなるため、例えば、10月に新車を登録すると、自動車税は翌11月から翌年の3月までの5か月分が課税対象期間となります。
つまり、毎月の初日である1日に購入すれば、購入当月分、1か月分の税金を節約できます。
一方、軽自動車税は、年度途中に購入すると翌年4月まで課税されません。4月2日以降のできるだけ早いタイミングで軽自動車を買えば、それだけ税金の負担を軽減できます。
年度途中に自動車や軽自動車を買い替える予定がある場合は、車の売却と購入の適切なタイミングを検討しましょう。
障がいがある方は減免されることも
お住まいの地域によっては、障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳など)を取得している場合、自動車税や軽自動車税が減免されることもあります。
例えば東京都では、上限45,000円の減免を受けることができ、上限を超えた税額を納付することになります。
自動車税は都道府県、軽自動車税は市区町村が管轄するため、地域や車種により減免制度の有無や内容が異なります。詳しくはお住まいの地域の自治体へご確認ください。
6.自動車税の支払い方法
自動車税の支払い方法には、いくつかの種類があります。それぞれの詳細とメリット・デメリットについて解説します。自分に合った支払い方法を選んで、期限内に納付しましょう。
スマートフォンのアプリ決済
現金支払い
口座振替
ペイジー
クレジットカード
7.納税証明書は保管するべき?
自動車税・軽自動車税の納税証明書とは、税金を支払い、滞納がないことを証明するもので、納税通知書の右端に付いています。
原則として保管が必要とされる書類ですが、取り巻く環境は少しずつ変化してきています。
納税証明書が必要になるのはいつ?
以前は車検時に必要でしたが、オンラインで納税情報を確認できるようになったため、納税証明書の提出は不要です(普通自動車は2015年4月から、軽自動車は2023年1月から)。
ただし、以下のようなケースでは納税証明書が必要です。
- 納付してからすぐに車検を受ける場合
- オンラインで納税確認できるようになるまで数週間〜数か月とタイムラグが発生するため
- 二輪小型自動車(総排気量250cc超)の車検を受ける場合
- ただし2025年からオンライン対応予定
- 他の市区町村へ引っ越した後に車検を受ける場合
- 中古車の購入直後に車検を受ける場合
- 対象車両に過去未納がある場合
- 車を売却する場合
- 所有権解除手続きを行う場合
それぞれのケースの詳細をはじめ、納税証明書については以下記事で詳しく解説しています。
8.滞納してしまったときのリスクと支払い方法
もしうっかり忘れてしまったり、やむをえない事情で自動車税を滞納してしまったりしたら、いったいどうなるのでしょうか。
まず延滞金の発生・コンビニ支払いの停止などのペナルティーがあります。さらに延滞が続くと、車検が通らなかったり、資産が差し押さえられたりするなどのリスクがあります。
それらのリスクについて、項目ごとに紹介します。
延滞金の発生
自動車税を滞納すると、延滞金が発生します。2022年1月1日〜2024年12月31日までの延滞金利率は以下のとおりです。
- 1か月までの滞納:納付額の2.4%
- 1か月以上の滞納:納付額の8.7%
全額が1,000円未満の延滞金は切り捨て(999円以下は延滞金がかからない)、100円未満の端数は切り捨てになります。
コンビニ支払いができなくなる
自動車税を滞納した場合、納付書に記載された取扱期限を過ぎるとコンビニでの支払いができなくなることがあります。
期限を過ぎてからの支払いについては自治体により対応が異なるため、自動車税は都道府県、軽自動車税は市区町村の案内に従ってください。
車検が通らない
滞納している状態では車検を受けることができないため、車検の有効期間が更新できず、その状態で運転すると「無車検運行」となってしまいます。
無車検での走行は道路交通法違反に当たる行為で、免許の取り消しや処罰の対象です。
資産の差し押さえ
自動車税を滞納し、延滞金が加算された納付書が届いた以降も支払わないままでいると、財産の差し押さえ通知が届き、給与や銀行口座の差し押さえが行われます。
給与の差し押さえの際には勤務先の会社に通知が届きますので、会社にまで自動車税を滞納していることが知られてしまうなど、信用を大きく損なうことにつながります。
滞納してしまったときの支払い方法は?
- 納付期限が過ぎた場合
- 納付書に書かれている連絡先に連絡をして、納付書を再送してもらうのが一般的
- ただし、対応は自治体によって異なり、再送が難しい場合には直接出向いて支払う必要があることも。電話で事前に確認するとよい
- 督促状が届いた場合
- 督促状は納付期限日を過ぎてから数回届く。納付書も兼ねているため、督促状に記載された期限内に定められた方法で支払う
- 督促状に気づかず、支払いができていないと差押通知書が送付され、給与などを差し押さえられてしまう可能性がある
9. 監修者コメント
自動車税は、1年に1回、翌3月までの分を前払いで納めます。
なお普通車を廃車にすると、3月までの月割分が還付金として戻ってきます。お持ちの車が古い普通車であるために不便や不安を感じているのなら、3月まで待たずに廃車にするのも悪くないと思います。
廃車にせずに売却する場合は自動車税の還付はありませんが、買取額に相当分を上乗せしてもらえることがあります。自動車税を納めたばかりの時期は上乗せ額が大きくなることも多いので、売却や下取りに出す際は交渉してみるとよいでしょう。